【米国株決算動向】~アマゾンドットコムが決算発表
【米国株決算動向】~アマゾンドットコムが決算発表
~売上見通しが予想未達で株価下落~
米国でアップルに次ぐ1兆ドル企業となったアマゾンドットコムが10月25日、18年3Q(7-9月)決算を発表しました。売上高はYoY+29.3%56兆ドル、EPS(一株当たり利益)はYoY約11倍の5.75ドルでした。3QのEPSに関しては市場予想の3.11ドルを上回りましたが、翌4Qの売上高ガイダンスは665-725億ドルと市場予想の738億ドルを下回りました。ガイダンスはYoY+10-20%に相当するため、これは3Qから大きく減速することを示唆しています。
この減速の背景は、昨年8月から買収したホールフーズの買収効果が一巡すること、有料定額会員「アマゾンプライム」の収益認識方法が変更されることなど、テクニカルな要因です。しかし、同社の株価は売上高の減速を嫌気し、前日比7%近く下落しました。同社のような企業に対して投資家が求めるのは、高い成長率です。今回のガイダンスで4Q、さらには来期の成長鈍化が示唆されたこと受けて株価が下落しました。
<アマゾンドットコムの株価(日足)>
~結局はグロース株に戻ってくる~
さて、今回の決算および株価急落を受けて、同社株を手放してしまった投資家も多いと思われます。同社は配当などの株主還元に資金を使わないため、株価下落局面でも投資家は再投資することができません。同社へ投資するということは、株価下落局面の”痛み”を甘んじて受け入れるしかないわけです。その分のリターンを、株価上昇局面で得られるから釣り合いが取れるのです。
しかし、我慢して同社に投資している投資家は、悲観的になったり、自棄になって投げ売りする必要もないと私は考えています。なぜかといえば、市場を出し抜こうと努力を続けるアクティブ投資家は、結局はアマゾンのようなグロース株に戻ってくるからです。
同社の競合企業といえば、ウォルマート(小売り)やマイクロソフト(クラウド)、グーグル(広告)などですが、グーグルやマイクロソフトはさておき、ウォルマートの株価はボラティリティが少なく、短期的に市場をアウトパフォームすることが難しい株です。そのような株に投資しても市場を上回る投資成果を上げることは難しく、ファンドマネージャーとしての評価も高まらないでしょう。なので、嵐が過ぎ去るのを待っていれば、いずれは同社の株が市場をアウトパフォームし始めるとみていいでしょう。
<アマゾンドットコムとウォルマートの株価推移>
~上昇トレンドのなかで調整の可能性は常にある~
長期的に同社に投資するのは難しいことですが、だからと言って同社のビジネスが淘汰され、消えゆく可能性があるか?という問いには「その可能性は低い」と答えることができます。それはコンピュータ産業で隆盛を誇り、その後衰退したIBMやマイクロソフトが、今もなお投資家から支持を集めていることからわかります。IBMは高い配当利回りが魅力で長期投資のバリューに優れた銘柄であり、マイクロソフトはコンピュータの主役がデスクトップからスマホに切り替わった後でも、クラウド分野で稼ぎを得ています。
アマゾンも同様に電子商取引とクラウドで支配的な地位を築いていますが、いずれはどのような事業も成長が鈍化するものです。しかしその時が訪れたとしても、この5年間で投資してきた別の事業が花開いて同社の企業価値を支えると考えていいでしょう。丁度数年前のクラウドサービスのように。