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【決算レビュー】~国内最大のケミカルメーカー、信越化学工業(4063)が決算を発表

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~26日引け後に信越化学工業(4063)が好決算を発表~

 26日の引け後に信越化学工業(4063)が18年4-9月期決算を発表しました。内容は良かったです。売上高はYoY+13.9%と前四半期からの好調が持続。営業利益は同+33.9%と大幅増益となりました。また、決算と同時に18年3月期通期業績計画の上方修正を発表。売上高を1.5兆円⇒1.56兆円、営業利益を3600億円⇒3900億円としています。配当の増額も発表し、年間180円⇒200円/株としました。通期業績計画は上期の着地と比較してやや保守的ですが、増配は同社が業績見通しに自信を持っていることを示しており、総じて良好な決算といえるでしょう。

<売上高、営業利益の推移>

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~事業別業績評価~

 信越化学工業(4063)は国内最大のケミカルメーカーで、複数の事業を抱えています。同社の事業別業績を確認することで、投資家は他のケミカルメーカーの業績動向をある程度推測できます。

 半導体材料のシリコンウエハを扱う「半導体シリコン」事業は売上高がYoY+28.0%、営業利益がYoY+67.1%と大幅増収増益でした。シリコンウエハは需給が引き締まった状態が続き、価格の改定と出荷量増加が寄与したことで、1Qから伸びが加速しています。半導体シリコン事業の良好な業績を受けて、同じくシリコンウエハを手掛けるSUMCO(4063)も好決算を発表する可能性が高くなりました。 

半導体シリコン事業の業績推移> 

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 塩化ビニル・苛性ソーダなどを手掛ける「塩ビ・化成品」事業は、売上高が+10.3%、営業利益が+46.1%と、こちらも大幅増収増益でした。米国のシンテック社において、塩ビ、苛性ソーダともに高水準の出荷が継続したことに加え、需給改善が進んだ結果、業績が大きく伸長しました。国内企業では、カネカ(4118)や東ソー(4042)、トクヤマ(4043)などが同業となるため、決算に注目です 

<塩ビ・化成品事業の業績推移>

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~先行きの見通しについて~

 同社は決算と同時に売上高をYoY+8.2%の1.56兆円、営業利益を+15.8%の3900億円に上方修正しましたが、上期はそれぞれ+13.9%、+33.9%のため、この計画は下期の減速を織り込んだものといえます。半導体価格の値下がりを受けてシリコンウエハにも値下げ圧力がかかると見越していることや、塩ビ・苛性ソーダの需給が将来的に緩んでくる可能性をみていると思われます。しかし、同社レベルのシリコンウエハを供給できる企業は世界的に限られており、供給余力も少ないなかで価格交渉では有利に立てることや、「塩ビ・化成品」事業でも中国の環境規制が続くことから、市況が直ちに緩む可能性は低いとみられます。米住宅統計の弱含みなどは塩ビ需要の鈍化を連想させるネガティブ材料ですが、今期の業績は問題なく推移するのではないでしょうか。同社の株価は年初来、下落基調が続いただけに、今回の決算を受けて見直しが入る可能性があるでしょう。

信越化学工業(4063)の株価推移>

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