斎藤さんの投資ブログ

斎藤さん(20代)の株式投資ブログ

【2018年株式市場振り返りPart1】経済、金融政策

 世界景気の減速と流動性縮小を織り込み調整へ

2018年は株式投資家に厳しい一年となりました。

昨年末に駆け込みで米大型法人減税が決まり、年初は17年の上昇相場の余韻もあって、楽観的な見方が優勢で相場もロケットスタート。米国の経済指標が強い数値を示し続けたことも支えとなりました。

しかし、米トランプ大統領が、一年を通じて中国に対する強硬姿勢を強め、米中は“新冷戦時代”へ突入。株式市場もその動向を横目で見る神経質な展開へ。1012月にはFRB(米中央銀行)と市場の認識が食い違い、金融引き締め的な政策が嫌気されて世界的に資産価格が急落しました。

 

2018年主な株価変動要因

1.世界経済の減速(ないし後退)懸念 <ファンダメンタルズ>

☑ 10月、国際通貨基金IMF)が経済成長見通しを下方修正(20167月以来)

☑ 米中“新冷戦時代”到来に伴う経済制裁合戦による企業業績、経済への影響

☑ 欧州・中国の景気先行指標(PMI/製造業景購買担当者況感指数など)の悪化

 

2.金融市場の過剰引き締めへの懸念 <投資家心理>

☑ 2019年のFRB政策金利引き上げ回数が多すぎる→経済の急減速懸念

☑ ECB欧州中央銀行)が景気減速下でバランスシート縮小へ

☑ 政府・企業の債務水準の問題

 

 

 相対的に“まだまし”だったのは?

〇株式市場は世界的に他の資産に比べて劣後するパフォーマンスが続きましたが、国際比較すると“まだましだった”国が見えてきます。下のグラフは、世界の主要6各国/地域の株価指数パフォーマンスです(17年末→18年末)

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株式市場は散々な1年だった

6指数全てが下落しました。貿易戦争を吹っ掛けられた中国の上海総合指数の下落が最も大きく、日・独の株価指数も大きく下げました。香港は電子部品の貿易で日本以上に中国と関係が深いとみられますが、株価指数ではアウトパフォームしました。イギリス(英FTSE)は通貨ポンドの下落が追い風となったようです。世界中に喧嘩を吹っ掛けておきながら、米国のパフォーマンスが一番というのは面白い結果ですね。それだけ米国株が投資家の信頼を集めているということでしょう。

 

 2018年の衝撃イベント“TOP 5” (個人の印象です)

2018年も様々な出来事がありましたが、その中でも日本株市場参加者が最も“衝撃”を受けた出来事をおさらいします。必ずしもマーケットへの影響が大きかったとはいえませんが、整理のためにも書いておきます。

 

<第5位>サッカーW杯決勝トーナメント進出、奇跡が起きたコロンビア戦

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2018年は、冬季オリンピック(韓国/平昌)の羽生選手、全米オープンの大阪選手など、スポーツシーンでも多くの日本人の活躍を見ることができました。中でも、個人的に最も驚いたのは、サッカーW杯の日本代表決勝トーナメント進出です。直前まで監督交代などでゴタゴタしていたため、下馬評が低かった今回のW杯ですが、初戦のコロンビア戦をうまく切り抜けたのが幸運でした。実力が劣る場合でも勝てる可能性があるのは、サッカーの面白さの一つだと思います。欲を言えば決勝トーナメントのベルギー戦でしっかり勝ち切ってほしかったですね。あの逆転負けは、テレビの撮れ高にはよかったかもしれませんが、ファンにとっては残念だったことでしょう。

 

 

<第4位>安倍首相が自民党3選、2021年まで続投へ

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表面上は仲良し

市場参加者が最も注目した政治イベントは米中間選挙でしたが、国内でも9月に与党自民党総裁選が行われ、安倍総裁が2021年まで任期を伸ばしました。9月は月末にかけて日経平均が強含んでおり、政治的な安定が見えたことで投資家の“リスクオン”姿勢が強まった可能性があります。まあ10月以降の大惨事で台無しになったんですけどね(笑)

 

 

<第3位>史上初の米朝首脳会談、関係改善への一歩を踏み出す

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トランプでかいなあ、と思った


歴史上初となる米朝首脳会談シンガポールで実現しました。株式市場に与えた影響はそれほど大きくなかったイベントですが、トランプ大統領金正恩の会談は終始良好な雰囲気で、2018年の数少ない外交関係の進展といえそうです。

 

 

<第2位>日産ゴーン前会長逮捕、西川社長のクーデター

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月の衝撃ニュースは日本から飛び込んできました。日産自動車の前会長カルロス・ゴーン氏が逮捕されたのです。容疑は有価証券報告書の虚偽記載(自身の報酬を過少申告)などです。巨額の報酬でメディアに登場することが多かっただけに、翌日のニュースは“ゴーン氏への非難一色”となりました。しかし、時間が経つにつれて検察側の苦戦が伝わるようになると、報道も様々な角度から見たものが多くなっているようです。個人的には、業績不振に伴う“クビ切り”を恐れた西川社長のクーデターとみていますが、日産単体の問題ではなく、親会社のルノーや日仏間の国際問題に発展しそうな勢いです。日産自動車株は翌日に急落しましたが、他のトヨタなどの自動車株への影響は限定的でした。投資家の目先の注目は、「同社株が高い配当水準を保てるかどうか?」でしょう。

 

<第1位>米中間選挙民主党下院奪還で“ねじれ議会”へ

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今年最大のイベントとして注目されていたのが米中間選挙です。結果からいえば民主党が下院を取り返し、米議会は“ねじれ議会”となっています。この結果は市場予想通りだったのですが、11月は米株も調整の足音が聞こえていたため、相場反転の機会となることが期待されていました。しかし、

結局12月も株式市場は下げ続け、米中間選挙はノーイベントとなったのです。その後、ねじれ議会の影響で年末の予算が決まらないことで米国は“政府機関閉鎖”の状況になり、株式市場では下げ相場からの脱却が遠退いている状況です。まぁ、歴史的に見れば“政府機関閉鎖”も“ねじれ議会”も株式市場への影響は大きくないため、来年の相場については心配することはないでしょう。

 

 

 2018年もいろいろありましたが、来年の金融市場に大きく影響する出来事は少ないように思われます。それよりは、経済成長見通しの不透明感や、金融政策に対する懸念が株式市場の重しでした。来年にかけても、経済見通しはそう簡単に変わらないですし、金融政策(米FRB)については既に利下げまで織り込みかねない状況です。来年のポジティブ材料は年後半を待つ必要がありそうな気がします。

 

次回は、為替・商品市場をふりかえってみます。