斎藤さんの投資ブログ

斎藤さん(20代)の株式投資ブログ

【決算速報】日本電産は増配を発表も物足りなさが漂う

日本電産決算速報】

 23日東京市場の取引終了後に、日本電産が18年2Q累計(4-9月期)決算を発表しました。結論から言うと物足りない決算という印象です。売上高は前年同期比+8.6%で会社計画の+4.8%から上ブレしました。営業利益は同+20.3%で会社計画の同+9.4%を上ブレました。一方で通期の見通しについては売上高が前期比+7.5%、営業利益を同+16.3%とする従来計画を据え置いています。市場のコンセンサスはそれぞれ+8.6%、+22.2%なので、見通しについて市場予想を下ブレたことになります。

 

 今回の決算の注目点は4点あります。第1に業績見通しが市場予想をショートしたことです。これまで堅実な四半期の連続増益を続けてきた日本電産に対する市場の期待はかなり高いと予想されるため、今回の弱気とも受け取れる業績計画据え置きは失望を招く可能性があります。日本電産は保守的な見通しを発表することが多いことや、リスク要因を余計に織り込んでいる可能性が高いことを考慮すれば問題のない範囲内ですが、今回の場合は米中貿易摩擦の問題や景気サイクルの終盤にあることも併せると、投資家はより慎重に投資判断を下す可能性があります。

 

 2つ目に今回の決算における関西航空の被災影響です。日本電産は海外生産体制を整えているので輸出比率がそこまで高くないと考えられますが、それでもいくらかは輸出しているはずです。電子部品の輸出拠点となっている関空の影響がどの程度あったのか、そしてそれに対する市場の反応(以外と少ないと見て買い戻すのかどうか)は気になるところです。

 

 3つ目に米中貿易摩擦の影響です。2月決算のため一足早く決算発表したロボット大手の安川電機では、顧客の設備投資が先送りになっている旨のコメントがあり、米中貿易摩擦が企業業績の下押し圧力となっている事が示唆されました。日本電産は完全な設備投資向けではないものの、減速機などの一部の製品は設備投資向けに展開している可能性が高いため、影響を受けているとみられます。業績計画が据え置かれたことと併せて、先行き懸念が払拭できない恐れがあると見てよいでしょう。

 

 最後に四半期売上のモメンタム低下(伸び率鈍化)が続いている点です。同社の業績を四半期ごとに追いかけると、株価がピークを打った1月末に発表された前期3Qの決算がもっとも高い売上伸び率を記録し、その後は低下し続けていることがわかります。この流れは機械やロボットなどの設備投資関連の銘柄でも同じで、業績モメンタムの減速と同時に株価が売られている形になっています。今回の決算でも引き続き鈍化傾向が継続したため、投資家は、同社が収益拡大を持続できるのか自信を持てない状況です。

 

【今後の焦点は?】

 今回の決算内容は、日本電産の株価を再浮揚させる程のインパクトはなかったように思われます。しかし、四半期決算において業績の波ができるのは当たり前の話であり、17年3月期の決算においては下期にかけて加速度的に業績を拡大させていたことを考慮すると、今期の伸び悩みはある意味当然の結果です。今回の四半期決算における日本電産経営陣の発表では、中国からメキシコへの生産拠点の移管など、迅速に環境の変化に対応していることがわかります。こういった定性面を鑑みれば、同社の中長期における評価が変わることはないでしょう。

 

 株価が再び上昇するポイントとしては、これまで業績拡大に伴って積極化させてきた先行投資がいつ収益に貢献するのか?そして業績の加速がいつになるのか?という点になるでしょう。その兆しが見えてくれば、株価が再度上昇トレンドへ復帰する可能性が高まります。