日本でe”スポーツ”は根付くのか?
eスポーツてどうなの??
最近報道が増えてきた
朝日新聞デジタルで、長野県の工業高校でeスポーツの部活動が立ち上げられたという特集?が組まれています。eスポーツというのはテレビゲームやパソコンゲームで対戦することを、スポーツの対戦になぞらえて呼んだものです。ゲームという括りのなかでも、特に対人戦に焦点を当てたものを呼んでいるようです。
件の工業高校では、今夏から、電子工学クラブのなかにeスポーツ班として内部グループを作り、活動しているとのこと。きっかけは一年生の一声で、顧問の先生の働きかけもあり、現在は7人で活動していると報じられています。
最近はメディアでもeスポーツを取り上げることが増えてきたので、この記事自体はそこまで驚くことでもありません。せいぜい、「よく学校が許可したな」というぐらいの感想です。私が本当に注目しているのは、こういった記事に対する、コメント欄(Yahoo)の反応です。
Yahooのコメントは上っ面だけ認めているのが気色悪い
Yahooのコメントをしている人たちは本当にお行儀がよく、良く出来た考えをしている人ばかりです。文章の頭に必ず枕詞をつけ、「頑張ってください」と応援したり「すごいと思う」と認めています。ただ残念なのは、それが彼らの本音とはとても思えないことです。
ほとんどのコメントの後半には「スポーツ呼ぶのはどうか」とか「メディアのごり押し」とか、「オリンピックと同列に扱うのはいかがなものか」とか、ひどいものだと「若いうちは頭を使う勉強するという使命がある、ゲームをしていたら頭を休める暇があるのか?」という立派な教育論まで語られる始末です。なんだかeスポーツは見下されているように思ってしまいます。
わかっています。これが全ての意見ではないことは。しかし一般の学生や社会人にも同じような見方があるとしたら少しゾッとしてしまいませんか?
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eスポーツとスポーツの違いは筋肉の量だけ
はい、タイトルは煽りです(笑)
でも真面目な話、ビジネスとして考えるとスポーツとeスポーツの違いは大きくないように思えます。
そもそもスポーツがビジネスとして成立している理由はなんでしょうか?
体を動かして汗をかくこと?学校で習ったことがあるから?歴史の重みがそうさせる?違いますよね。スポーツがビジネスとして成立する根本的な理由は、多くのファンを感動させるからです。野球もサッカーもテニスもゴルフも、プレーする人も観戦する人も解説する人も、楽しんでいる人も苦しんでいる人ですら、スポーツを見て感動した経験はあると思います。
その中から、お金を払ってスタジアムに足を運び、有料チャンネルで試合を観戦し、キャンプに押し掛けてサインをねだるファンが出てくるわけです。彼らはより深い感動を求めて、惜しみ無くお金を払うのです。そしてファンがいることで広告ビジネスが生まれ、さらに産業の規模が複雑で大きなものになります。彼らのお金なくしてはスポーツは成立しません。選手の給料も、審判の給料も、解説者の給料が出ているのすら、ファンのお陰でしょう。
ではeスポーツはどうか?見たことがない人はわかりませんが、eスポーツのファンの熱狂ぶりといったら若干恐怖を感じるほどです。彼らが競技を見ている理由、熱中している理由は、スポーツのそれと何が違うのか?
なにも差はありません。
スター選手のスーパープレイにファンが感動するのも、広告が大きな産業になっていることも、スポンサーとして企業がついている点も同じです。ビジネスの観点から見れば、ゲームをeスポーツと呼ぶことには全く抵抗など無いといって良いでしょう。
唯一の違いは、eスポーツのゲームタイトルが企業によって管理されている点でしょうか。スポーツはその点、例えば野球という競技が特定の企業に管理されているわけではありません。ただし、スポーツも管理団体が存在し、彼らもまた営利的にファンを増やすことに熱を上げている現状を見ると、大して差がないような気はしますが。
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eスポーツは新しいライフスタイルとなる
新しいものが生まれる際の典型的反応
新しいものが台頭するとき、人は必ず抵抗する姿勢を見せます。これはeスポーツに限ったことではありません。このような傾向があるのは、人は現状を変化させることに、強い抵抗を感じるからです。今回、学校でeスポーツの団体を作った人は素晴らしい行動力と実行力を持っていると思います。そしてそれを認めた学校や教師も、その懐の深さと理解に脱帽です。
世の中には、お節介にもeスポーツプレーヤーの学力や視力、人生を心配してくれる人達がいます。そのような人たちの偏見や、ある意味差別といえる考え方も、eスポーツの将来の発展を妨げることはないでしょう。今や誰もがスマートフォンを片手にゲームを楽しむ時代です。
動き出した学校のクラブから世界を制覇するような選手が生まれたら、その時の設立メンバーの感動は恐らく、戦った人達だけのものになるのでしょう。