日経平均2万3000円越えは本物か?
日経平均は大台を越えたか???
【23000円台の壁は崩壊?】
9月第3週(10日~14日)の日経平均は大きく反発し、前週末日787円高の23094円で週末の3連休を迎えました。
13日に、「中国が米中貿易協議再開を受け入れ表明」と報道され、翌14日の日経平均は大きく上昇。あれだけお互いに関税を掛け合っておきながら、中間選挙が近づくと途端に仲良くなるのは可笑しいものです。ともあれ日経平均は終値ベースで4カ月ぶりに23000円の大台を突破したことで、幾分投資家のセンチメントが好転しそうですね。
一方で、この9月というタイミングでの23000円越えは、素直に喜べない面もあります。9月末は多くの日経平均採用銘柄で配当権利落ちの影響があるため、当然、指数である日経平均にも影響を与えます。23000円越えをサポートした日米貿易交渉の進展も、依然として米中が互いに圧力をかけていくとの見方(まぁトランプとしては有権者にアピールし続けないと行けませんからね、、)もあり、当面の日経平均は、23000円台で定着できるかが注目を集めます。
【投資家は強気の見方を深めるか?】
最近はニュースサイトでも、「日本株の年末高」のシナリオを描いている記事を多く見かけるようになりましたね。斯くいう私も年末高を考えている人間の一人ですが、投資主体別で見れば、やはりカギを握るのは外国人投資家の動向でしょう。
今年は外人が年初から大幅に売り越しているということもあり、その買い戻しが株価を押し上げるというイメージを持っている強気の投資家は多いと思います。
逆に言えば、彼ら(外国人)が買い戻さなければ年末高のシナリオは実現しないといことです。ここで問題になるのは、彼らが日本株を買い戻す”理由”です。
年末高論者には、昨年末の急激な株価上昇が強く印象に残っており、それ故に強気の見方をしている方も多いかと思います。ここで記録として昨年と似ていること、異なることを整理して、年末に向けて私も頭の整理をしておこうと思います。
【昨年と似ている】
①国内の政治イベントが控える
昨年は衆院で、安部首相が解散総選挙に打って出た結果、自民党が大勝。その後日経平均は火を吹くように上昇しました。今年も政治イベントとしての規模こそ異なるものの、自民党総裁選の投開票が9月20日に控えています。国内政治の安定(野党がだらしないお陰で、少なくとも米国よりは安定している笑)が外国人に評価されるとすれば、イベント通過後は日本株が買い戻される流れもありえます。
②米国では株高が進む
日経平均が、23000円を目前に道草を食っているのを横目に、米国株は年初来高値を更新し続けています(ダウ平均はまだだけど)。好調な足元の米国経済が株価に反映されていることや、Amazonなどを中心にテクノロジーセクターが牽引していることが理由です。
ここ最近の日本株の値動きは、かなりの部分が米国株の動きと為替のドル円で説明可能です。そのため米国の株高は日本株にとってもポジティブです。為替レートが安定的であれば、米国の株高に後押しされる形で、年初来高値24129円(日経平均)を越えるという見方もできると思います。
【昨年と異なる】
①マクロ経済
昨年は、「ゴルディロックス」という言葉を事あるごとに聞きましたが、今年は聞いた覚えがありません。FRBが利上げに慎重な方針を維持している事は昨年と同様ですが、やはり欧州や中国を中心にマクロ経済全体の成長鈍化が意識されているようです。米経済は昨年末同様に非常に好調で一人勝ちの様相ですが、これはトランプ大統領の一番の成果である大型減税の効果が含まれているためです。よって来年以降まで含めれば、それをいくらか割り引いて考えた方がよいでしょう。株価の根幹となる経済環境が昨年と変わっていることは、やはり意識すべき事のように感じます。
②日銀の金融緩和姿勢の変化
株と債券を買いまくってきたために、やれ「副作用がどうたらこうたら」とか「官製相場がなんたら」とか文句を言われ続けてきた日本銀行。今年はアベノミクス始まって
以降、初めて緩和以外の政策を打ちました。文句を言う人も、感謝する人(つまり株を持っていた人)も引っくるめて、「昨今の株高は日銀が作ってきた」という認識はある程度広がっていると思います。
そんな日銀が、”柔軟化”と称して、「明確な緩和」以外の方向で政策を打ち出したのは明らかに昨年と異なる変化です。銀行の収益環境に対する配慮や、市場からの風当たりの強さ(主に株高に乗れなかった人からの批判)、経済の減速局面に備えた、政策余地の確保などが、教科書的な理由です。日銀はあくまで「緩和の長期化を目的としている」という旨の事を主張していますが、私は引き締め政策への下慣らしと見ています。日銀と市場のコミュニケーションも、今後はリスクの一つと認識されているのではないでしょうか。(バズーカの前例を見ると、黒田総裁はコミュ障かも笑)
③米中間選挙
米国では11月6日に中間選挙が予定されており、今年のメインイベントです。年初から炸裂しているトランプ節も有権者に向けたアピールで、この選挙に向けて実績を作るためのパフォーマンスとの見方もあります。
例年の傾向では、与党に厳しい判定が下されることが多いです。そのせいか、米中間選挙前は米国株は調整する傾向があります。しかし、イベントを通過すると、不透明感が後退したと見て株価は上昇に転じることが多いため、どうやらトレンドの変化を発生させる類いのイベントでは無さそうです。最近マーケットで再燃しているブレグジッドの投開票当時(16年)や米大統領選(トランプが勝った例の事件、16年)でも、結果的にはイベント通過後に株が買い直されました。このような直近の出来事と照らし合わせても、この選挙をリスクではなくチャンスと見る考え方もありそうです。
【チャンスとリスク】
書いてて整理されてきた感がありますが、チャンスは米中の政治イベント、リスクはマクロ経済、および日銀の動きといえそうです。
ただし米中の政治イベントは日程までもが決定している事と比較すると、マクロ経済のリスクは時期・影響度共に不明です。明確な「キッカケ」ということで見るのであれば、政治イベントが分かりやすいため、日本株の年末高シナリオが実現するかどうかは、残り2回のチャンスに左右されるのではないかと見ています。
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